SRI SATHYA SAI RAM NEWS
2024年
新年のご挨拶
ハートの中におられる神様を絶え間なく憶念し
人類同胞愛という一体性の花を捧げます
新年明けましておめでとうございます。今年2024年が皆様にとりまして平安に満ちたものとなりますように、そして世界が平和でありますようにお祈り申し上げます。
昨年、一年間を振り返りますと、世界はますます混乱の中にあると言わざるをえません。対立が激化し、暴力の連鎖が止まりません。世界の各地で戦争や紛争が起こり、あるいは独裁的な為政者による弾圧があり、その結果、多くの一般の市民が犠牲になっています。犯罪の増加も後を絶ちません。
弱者をいじめる風潮も未だやみません。また、地球環境は、温暖化による異常気象、空気汚染や海洋汚染、水の不足、食糧問題や、エネルギー問題など、人間が生きていくための環境が限界を超えようとしています。
神さまはどこにいるのだ、正義はどこに行ったのだ?神さまは何をしているのだと、その憤りを神さまにぶつけたくなる人もいるに違いありません。しかし冷静に考えれば、これらのすべての原因を作っているのは、神さまではなく私たち人間なのです。
人は完全に正気を失っています。他人を敵か味方としか捉えられないのは動物的な本能であり、人はいまだ動物脳に占領されているのかもしれません。
このように自他を区別し、敵か味方かを分ける本能から脱するためには、霊性に目覚めなければなりません。今、社会が混乱している根本的な原因は、「人間はどのような存在か?」という真実を見失っていることや、社会の基盤に霊性という土台がないためでしょう。現在、教育、医療、政治、経済、経営などの社会の基盤に霊性が失われていることで、教育は学歴や就職のためとなり、医療は患者を見ず、政治は権力化し、経済は成長のためになり、経営はお金のためとなっています。また、資本主義であろうが、共産主義であろうが、民主主義であろうが専制主義であろうが、霊性が土台でない思想が混乱を作り出すことは世界を見れば明らかです。
しかし、霊性が基盤になれば、教育の目的は人間性を高めるための人格教育となり、また、医療や政治や経済や経営も必然的に変わってくるはずです。
サイ ババ様は次のように説かれています。
「唯一の宗教が存在します。それは愛という宗教です。唯一のカーストが存在します。それは人類というカーストです。唯一の言語が存在します。それはハートという言語です。唯一の神が存在します。神はすべてに遍在しています。」
いずれ、世界はそのことに目覚め、新しい時代を迎えるに違いありません。神さまは、この世を秩序あるものにするために、一つのルールを定められました。それは原因結果の法則、つまりカルマの法則です。
どんな行為をしても、その結果は間違いなく行為者に返っていきます。その仕組みにより、どんな人も、自らの行為が相手にどのような影響を与えたのかを、相手の立場で体験させられることになります。この善因善果、悪因悪果の法則により人は、学び、成長していきます。
スワミはある御講話の中で次のように述べられています。「神が創った世界のことは神に任せなさい。あなたはあなたのことだけを考えなさい。」
そうです。私たちはまず自分のことを律していかなければなりません。それを忘れてしまっては生まれてきた目的から外れてしまうことになりかねません。
また、スワミは1997年のシヴァラートリーの御講話でガルボ・ウパニシャッドに触れていらっしゃいます。
このウパニシャッドは人間の誕生に関するものだそうですが、母親の胎内に宿った命は7か月目に魂(アートマ)が入るそうです。そして8か月目の間に、過去世のすべてを回想し、すべての生涯を思い出します。そしてプラナヴァとの一体性に気づき、自分は源から分離していないことを知ります。
そして、今生で自分を解き放つという目的を決意します。しかし、この記憶は誕生と同時に消され、まっさらな状態で生まれるとのことです。つまり、人生の目的を忘れて誕生することになるのです。
それを思い出せるのは、人間としての特権です。人は神から生まれ、神を体験し、神に還る存在です。スワミの御教えに触れることができた私たちは何と幸運なことでしょうか!
しかし、私たちはこの世に生まれると様々な出来事に出合い、ついつい人生の目的を忘れてしまいます。人間として、社会で起こることに無関心であってはいけませんが、あまりに自分の問題として関与しすぎるとそれに引きずられて、本来の目的、つまり人生の目的への取組みがないがしろになってしまうのではないでしょうか?
人生は限られた時間しかありません。今、世界は確かに大混乱をしています。そのことに気を配りつつも、私たちは人生の目的を忘れないようにしなければなりません。
スワミによれば私たちが病気の時に薬を飲むのは、もう二度と薬を飲まなくて良いようにするためだそうです。同様に、人生の最期に誰もが体験する「死」は、もう二度と死ぬことがないようにするためだと言われています。
つまり、肉体の次元を脱して、次に行くことが私たちの定めであり、それを忘れてはいけないということでしょう。波乱多きこの世界ですが、人生の目的を見失わずに、共に日々精進してまいりたいと思います。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
ジェイ サイラム
シュリ サティヤ サイ インターナショナル オーガニゼーション ジャパン会長
住友正幹